フリージャズとわたし 本日の一枚■Peter Brotzmann / Yatagarasu
6月ももう終わりです。
冷房やアイスコーヒーが恋しくなるぐらいに暑くなりました。
これからこれより暑くなるのかと思うとゾッとします。
ゾッとすると書くと、冷えて良いではないかとと思われるか。
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暑い上に、ムシムシしているので、先日、髪をだいぶ短く切ってもらいました。
いつも切ってもらっている方は、移転などでお店が変わりながらも、もうかれこれ7、8年と長年お世話になっております。そこでは普段、私の周りでは絶対話題にならないような(そもそも大して人と話してないけど)、毎回、最近見たドラマの話をしてくれるのですが、私は最近ドラマは、今やっているガンダム「水星の魔女」ぐらいしか見ていないなので、ほとんどついていけずに何だか申し訳ない気持ちになります。
そこで私はガンダム見てます、と言い出せなかったのは、いい歳こいてガンダム見てるの?とは思われたくなかったのですが、ふと、ガンダムの適齢期とはいったいくつなのか?と思いました。
私は全てのシリーズを見ているほどのガンダムファンではありませんが、幼少の頃は、ロボットかっこいいから入って、当時「逆襲のシャア」をスクリーンで見に行きました。もしかしたら初めての映画館で見た映画かもしれません。あ、東映アニメ祭りが先か(ドラえもん、プロゴルファー猿、パーマンの三本立てだったかな...?)。
ガンダムシリーズをご存じの方は、よくわかるかと思いますが、幼い子供が理解できるようなストーリーではなく、当時はただただガンダムかっこいい、サザビーかっこいい、ただ話は全くわからない、最後、アムロとシャアは結局どうなったの?という感想だったのですが、10年後ぐらいに見返して、あ、なるほど、これがこうなったからこうなったのか、いやはや悲しい話だった、理解できた、で?最後、アムロとシャアは結局どうなったの?と、そこは分からず仕舞いだったのですが。
今回の「水星の魔女」も日曜の夕方からやっており、絵柄もライトなキャラクターで、スタートこそ、ああなんだ、これは子供向けなのかな?と思っていたのですが、だんだんと進むにつれ、おいおい、これオレらは面白いけど、子供に見せていいんかい?みたいな展開になっております。これはガンダムの伝統芸能というものなのでしょう。
後半駆け足ぎみになっている感じが、ちょっとだけ残念だったのですが(そしてやっぱりストーリー、用語が理解できていない部分も多い)、明日に迫る最終回も楽しみです。
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オーネット・コールマンの「フリー・ジャズ」を聴いたのは学生の頃で、例にもれず、なんだこれは!と、衝撃を受けました。それまでスタンダードなジャズはある程度聴いておりましたが、若かりし当時、イキがっていた私は、これからはユルいのは聴いてられんと(今ではそんな考え微塵もございませんが)、これをきっかけに、後期コルトレーン、ファラオ・サンダース、アンソニー・ブラクストン、ジョン・ゾーン、阿部薫...と徐々に食指を伸ばしました。
演奏面でもフリージャズのエッセンスやアプローチを取り込み(今考えると単にデタラメなだけですが)、通常のジャズのセッションだけではなく、フリージャズのセッションにも足を運びました。
そこはフリージャズというよりかは、音楽問わず何でもありの即興パフォーマンスのセッションであり、突然踊り出したり、漫談を始めたりと、色々な方がいて、大いに刺激を受け、足しげく通いました。
ただ、だんだんと通ううちに疎外感を感じ始めました。即興、フリー=自由に演奏というのは聞こえはよいですが、いきなり無人島に放り出されて、さあ自由だ!と言われているようなもので、サバイバル能力に長けていない私は、何をすればよいかという指針がない世界で、上手く演奏ができずに悩みました。要は当時、スタンダードなジャズも上手くいってなかったので、フリーならできそうだなという、見くびりと甘い考えがあったのだと思います。
一見デタラメに聴こえるフリージャズも(本当にデタラメなものもあるように思えるものもありますが)、高度な技術と音楽的センスが試されるような世界だと感じました。
ただ、とても良い経験させていただきましたし、聴くことは今でも好きです。
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フリージャズ界、サックス、クラリネットプレイヤーの巨匠、ペーター・ブロッツマンが亡くなりました。
つい先日リリースした昨年の録音を聴いても、当分死にそうもないな思えるぐらいパワフルだったので、突然の訃報には驚かされました。ブロッツマンの地鳴りしそうな咆哮とも言えるサックスのサウンドは、獣の力の誇示と、人間の哀愁を同時に感じさせ、唯一無二のものだったと思います。
多くの作品を残されたので、とても全てを聴ききれてはおりませんが、私の印象に残っているのは、ピアノに佐藤允彦、ドラムに森山威男を擁した、2011年録音作品のこの「Yatagarasu」です。
同じメンバーでのライブがピットインであり、聴きに行き、いたく感動してCDにサインまでいただいたのは良い思い出です。ご冥福をお祈りいたします。
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カルテットのライブでこれまでお世話になっていたお店が残念ながら閉店になったということもあり、しばらく停止しておりましたが、ありがたいことに8月にライブができることになりました。
少し先になりますが、もしよろしければどうかよろしくお願いいたします。
■8/12(土)
馬車道 Ben Tenuto
【QUARTET】
川村信一(tenor sax)
篠田淳(piano)
大森哲也(bass)
川村成史(drums)
start 19:00
¥2,000 + table charge ¥500 + order
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